入局案内

専門別研修内容

専門別研修内容

角結膜

角膜と結膜の解剖、生理、免疫について理解し説明でき、角結膜疾患の検査の理論を理解し、細隙灯顕微鏡検査(スリットランプ染色法、フィルター使用含む)、涙液検査(シルマーテスト、涙液安定性テスト)、細胞診、組織診、微生物検査(顕検、分離培養)、角膜知覚測定、角膜屈折および形状解析(角膜トポグラフィ)、角膜厚計測、スペキュラーマイクロスコピー、生体共焦点顕微鏡解析、アデノウイルス抗原検出免疫クロマトグラフィー法といった手技を修得する。角結膜疾患の病態、臨床所見、診断方法、薬物治療および手術治療を理解し習得する。

白内障

近年、先進国では白内障は眼科領域で手術傾度の最も多い疾患であり、その手術方法の変遷は著しく、また白内障の手術によって患者側のQOL (quality of life)が短期間かつ劇的に向上するケースが増えている。それに伴い、患者側の手術後の視力回復への期待度も以前より増し、医療サイドとしてはその期待に答えるべく、さらに高度な技術、術前後の管理が要求されている。
本プログラムでは、白内障手術の術前から術後までの管理のみならず、手術適応を決める際の他の合併疾患による視力障害の適切な診断、および脱臼、亜脱臼を含む水晶体全般についての構造、機能と疾患、それぞれの対処法を含め、理解することを目標とする。

緑内障

眼科医が日常診療の場で緑内障に対して適切な診断・治療を行えることを目標としている。以下に研修方法と到達目標を記す。まず、外来での緑内障診断に必須の眼科検査技術の習得から始まる。前房深度検査(Van Herick法)、眼圧測定、隅角検査、眼底検査、視野検査はすべての緑内障患者に対して行い習得する。症例に応じて、各種誘発テスト、眼圧日内変動測定、超音波生体顕微鏡検査を行い学習する。個々の症例において、経過観察と治療のためのポイントを覚え、緑内障に関する診療技術と知識を学ぶ。非観血的手術(アルゴン、YAGレーザー手術)では指導医とともにその適応を判定し、執刀医として行う。観血的手術ではできるだけ多くの症例で手術助手となり、基本手技や手術理論を学び、最終的には独力で執刀できることを目指す。

網膜硝子体・ぶどう膜

網膜硝子体疾患には糖尿病網膜症、加齢黄斑変性症、網膜色素変性症、網膜剥離など社会的失明の原因となる疾患が多い。網膜硝子体疾患はここ十年で診断法、治療法ともに大きく進歩した。ここでは主に正しい診断にいたるために問診から始まり、必要な検査、思考過程、治療の基礎などの研修を行う。
また、ぶどう膜疾患はさまざまな原因で起こり、全身疾患の一病変であることも多い。そのため、原因検索は眼科領域に限らず、全身的に行い、診断をつけられるように研修を行う。具体的な検査手技として、一般検査:細隙灯顕微鏡:(前置レンズ、コンタクトレンズ使用を含む)、倒像鏡(単眼、双眼)、超音波断層検査、特殊検査:フルオレセイン蛍光眼底造影撮影(FA)、ICG蛍光眼底造影撮影(IA)、光干渉断層計(OCT)、網膜電図(ERG)、眼球電図 (EOG)を習得する。

屈折矯正・弱視・斜視

眼科学は患者視機能の回復を目的とし、なかでも屈折矯正は一般診療においても最も多く行われる検査手技であり、かつ視機能回復の評価において欠かすことの出来ない項目でもある。眼鏡処方は広く一般に行われる眼科医療行為である一方、弱視・斜視は、時に永続的に小児の視機能低下を生じる可能性のある重要な疾患項目であり、年齢に応じた検査、診断、治療法の理解が必要となる特殊性がある。また近年のコンタクトレンズ(CL)装用者の増加ならびに屈折矯正手術の出現、様々な機器の発達により屈折矯正方法も多様な変化を生じている。
ここでは様々な疾患による視機能低下状態での視力、屈折、調節検査法とその矯正法を修得し、疾患としての弱視の診断、治療が行えるように指導する。斜視は頻度の高い水平の眼位異常(調節性内斜視、間歇性外斜視)について理論とその治療方針について理解する。また屈折異常に対するCL処方、管理が行えるようにする。

神経眼科・眼窩・眼付属器

眼周囲の脳神経、涙器、眼瞼、眼窩組織における外傷、炎症、感染症、内分泌代謝異常、脳内病変など様々な病態に関連している。これらの疾患は日常診療において遭遇することは決してまれではない。これらの疾患では的確な診断方法による病変の部位と病態の特定までの診療手順も重要であり、一般眼科を目指す眼科医にとってこれだけは知っておくべき知識、検査法、診察手技、手順などを理解、習得することを到達目標とする。

他科との連携

本分野は大学付属病院における研修として重要な位置づけと考えられる。大規模病院以外では眼科外領域との関連を学ぶ機会は少なく、また同一施設内での医療情報の閲覧機能、他科医師との密接な情報交換の機会を生かし、眼疾患を通じて患者自身を一人の人間として取り扱うことも重要な目的と考える。たとえ将来眼科専門の医院などでの勤務となった場合でも、近隣の他科あるいは大病院とどのような連携を取ることができるのかを同一施設の中で学ぶこととなる。
高頻度眼合併疾患では主治医として他科と連携し治療ができることが重要であり、中でも原疾患のコントロール不良症例へのアプローチも重要である。また稀な未知の疾患における診療では、的確に上級医と協力し疾患に対する新たな情報収集ならびに個々の症例に応じた診療を実践する。

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